妊娠中は、ホルモンバランスや身体の構造が大きく変化します。その変化によって、普段はかからないような病気にかかりやすくなることがあります。
本記事では、妊娠中になりやすい病気について、それぞれの原因・症状・赤ちゃんへの影響・対策を詳しく解説します。
これからの妊娠を考えている方、妊娠初期・中期・後期の方、すべてのプレママさん必見です!
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妊娠中はなぜ病気になりやすいのか

まず、妊娠中にかかりやすい病気を紹介する前に「そもそも妊娠中はなぜ病気にかかりやすいのか」をご説明します。
ホルモンバランスの急激な変化
妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが急激に増加します。このホルモンの変化が、
- 免疫力の変化
- 消火器の働きの鈍り
- 自律神経の乱れ
などを引き起こし、病気に対する抵抗力が弱くなります。
免疫力が自然と下がる
妊娠中、母体の免疫はわざと弱められる仕組みになっています。これは、赤ちゃんを異物として攻撃しないようにするためです。
でもその代わりに、風邪、ウイルス、感染症などにかかりやすくなってしまいます。
血液量・体液量の増加
妊娠中は赤ちゃんに栄養と酸素を届けるために、血液量が1.5倍ほどに増えます。
これにより、血圧が上がったり、腎臓・肝臓に負担がかかったりして、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などになりやすくなります。
情緒の変化とストレス
ホルモンや環境の変化により、気分が落ち込んだり不安になったりしやすくなります。
ストレスが増えると、自律神経や免疫の働きが乱れて、メンタルにもフィジカルにも悪影響がでやすくなってしまいます。
妊娠中にかかりやすい病気10選

ここでは妊娠中にかかりやすい病気を原因・症状・赤ちゃんにどのような影響が出るのか・その対策方法をご紹介します。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
原因:妊娠によって胎盤に血液が十分に届かなくなることが影響され、血管が収縮しやすくなることが主な原因です。
症状:血圧が140/90以上に上がり、蛋白尿やむくみが出てきます。重症になると、けいれんや肝機能障害を引き起こすこともあります。
影響:胎児の発育不全や早産、最悪の場合は母体・胎児ともに命の危険があります。
対策:塩分を控えた食事、適度な休息、定期的な血圧測定が大切です。妊娠後期によくみられる病気のため注意が必要。
妊娠糖尿病
原因:妊娠中に胎盤から分泌されるホルモンがインスリンの働きを妨げ、血糖値が上昇するため。
症状:口の渇き、多尿、だるさなど。軽度では自覚症状がほとんどないこともあります。
影響:胎児が巨大児になるリスクが高まり、難産や帝王切開の原因になる可能性があり、さらに出産後に赤ちゃんが低血糖になる場合もあります。
対策:食事療法と適度な運動、血糖値の自己管理。必要に応じてインスリン治療。
鉄欠乏性貧血
原因:妊娠中は胎児への酸素供給のために血液量が増えるが、鉄分が足りないと赤血球が不足して貧血になりやすくなります。
症状:立ちくらみ、疲れやすさ、動悸、息切れ、顔色の悪さなど。
影響:胎児の発育に必要な酸素が不足し、低出生体重児になりやすくなります。
対策:鉄分を多く含む食品を摂り、維持の指導で鉄剤を使用することも。
切迫早産
原因:感染症、子宮頸管の緩み、多胎妊娠、過労、ストレスなど。
症状:下腹部の痛みや張り、出血、子宮頸管の短縮。
影響:このまま進んでしまうと早産になる可能性がある。未熟児として生まれるリスクが高まります。
対策:切迫早産と診断されたら、できるだけ安静にし、医師の判断で入院や薬で子宮収縮を抑える治療を行います。
妊娠悪阻(つわりの重症化)
原因:hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急増するため。
症状:嘔吐が止まらず、食事がとれない、脱水症状、体重減少など。
影響:重症になると母体の栄養・水分不足で胎児の発育に影響が出ることがあります。
対策:こまめな水分補給、食べられるときに少量ずつ食べる。症状が強い場合は点滴治療が必要になります。
便秘と痔
原因:妊娠中のホルモンが腸の働きを抑え、子宮が腸を圧迫するため。
症状:排便困難、腹部の張り、出血、肛門の痛みなど。
影響:痔が悪化すると排便時に激痛が生じ、出産時にも負担が増します。
対策:水分・食物繊維の摂取、適度な運動、妊娠中でも使える便秘薬の処方。
尿路感染症・腎盂腎炎
原因:妊娠で尿の流れが悪くなり、最近が繁殖しやすくなる。
症状:頻尿、排尿時の痛み、発熱、背中の痛みなど。
影響:腎臓まで感染が広がると早産や胎児の成長障害を引き起こすことがある。
対策:早期の抗菌薬治療、清潔や下着、こまめな排尿が大切。
胎盤早期剥離
原因:妊娠高血圧症候群、喫煙、外傷など、胎盤が赤ちゃんが産まれる前に剥がれてしまう状態。
症状:突然の腹痛、出血、胎動の減少など。
影響:胎児の命の危険、母体の出血多量。非常に緊急性が高い。
対策:すぐに医療機関での対応が必要。妊娠後期の激しい腹痛にはとくに注意。
カンジダ膣炎
原因:妊娠により免疫力が低下し、常在菌のカンジダが増殖する。
症状:外陰部のかゆみ、白くポロポロとしたおりもの。
影響:出産時に赤ちゃんに感染することがある。
対策:清潔を保ち、抗真菌薬を処方してもらう。
妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)
原因:妊娠によるホルモンの変化、体質によるアレルギー反応。
症状:腹部や四肢を中心とした強いかゆみと赤い発疹。
影響:胎児には直接的な影響はないが、かゆみで睡眠障害やストレスになることがある。
対策:保湿や抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬などで対応する。
まとめ

妊娠中に起こる可能性がある病気10選をご紹介しました、妊娠は奇跡の連続ですが、その裏には身体にかかる大きな負担があります。
妊娠中は自分の身体だけでなく、お腹の赤ちゃんの健康も守る必要があるため、病気の予防や早期発見はとても重要です。
妊娠中の病気について正しい知識をもって、安心して妊娠生活を送っていきましょう!
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